「なんだかモヤモヤする」「いつもネガティブなことばかり考えてしまう」——そんな時こそ、心の中を整理する“ラベリング”というテクニックが役立ちます。
この記事では、ネガティブ思考に振り回されず、感情を冷静に見つめるための“ラベリング”という心理的ハックについて、初心者でもすぐに実践できるステップとともに詳しく解説します。
そもそも“ラベリング”とは?

心理学で使われる「ラベリング」とは、自分の感情や思考に名前(ラベル)をつけて認識する方法です。たとえば、「イライラしている」「不安になっている」「嫉妬している」など、状態を言葉にして“分類”することで、自分の内面を客観的に観察できます。
ネガティブな感情に“名前をつける”ことで、感情の渦から一歩引いて自分を見つめ直すことができます。
なぜネガティブ思考にラベリングが効くのか?

① 脳が冷静さを取り戻す
感情にラベルを貼ると、脳は「これは単なる一時的な状態だ」と認識するようになります。扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる感情中枢の暴走を抑え、前頭前皮質という“冷静に判断する脳の司令塔”が活性化するのです。
② 感情と自分を切り離せる
ラベリングによって、「私は怒っている」のではなく「怒りを感じている」と捉えることができるようになります。これはマインドフルネスにも通じる考え方で、感情に飲み込まれずにすみます。
③ 負のスパイラルを断ち切れる
ネガティブな感情に名前をつけるだけで、その感情を抱えている自分を責めなくなり、自己否定や過剰な自己批判を減らすことができます。
ネガティブ思考のラベリングのやり方5ステップ

初心者でも簡単にできる方法をステップごとに紹介します。
ステップ1:深呼吸して立ち止まる
まずは思考のループを止めるために、深く3回呼吸をして心を落ち着けましょう。
ステップ2:自分の感情を感じる
「今、自分はどんな気持ちなんだろう?」と問いかけてください。焦り?怒り?悲しみ?無力感?感情をじっくり感じ取ります。
ステップ3:言語化する(ラベリング)
感情にぴったり合う言葉をつけます。「これは“嫉妬”だな」「これは“孤独感”だ」と、正直な気持ちをそのまま言葉にしましょう。
ステップ4:第三者視点で眺める
その感情を「自分の一部」としてではなく、「通り過ぎていく雲」のように見てください。ラベルをつけたことで、感情は距離を持ち始めます。
ステップ5:感情にOKを出す
「こんな気持ちを持ってもいい」と自分に許可を出すことで、感情に振り回されることが少なくなります。
よくあるネガティブ感情の“ラベル例”一覧

- 怒り → 「無視された怒り」「期待が裏切られた怒り」
- 不安 → 「未来への不安」「人からどう見られるかの不安」
- 嫉妬 → 「他人と比べた嫉妬」「劣等感からくる嫉妬」
- 罪悪感 → 「失敗に対する罪悪感」「誰かを傷つけた罪悪感」
- 無気力 → 「疲れからくる無気力」「自信喪失による無気力」
こうした具体的なラベルを使うことで、自分の感情をより明確に理解できるようになります。
習慣化するコツ:1日1ラベリング

毎日のどこかで「今感じている感情に名前をつける」時間を設けてみましょう。通勤中、就寝前、スマホの通知を見るたびなど、トリガーを決めると習慣化しやすくなります。
ポイントは「無理やり前向きになろうとしないこと」。まずは“感情に名前をつける”だけでOK。
ラベリングと組み合わせると効果的な3つの習慣
- ジャーナリング:感情と一緒に思考も書き出すことで、さらに客観視しやすくなる
- 瞑想:感情を観察する力が育ち、ラベリングがしやすくなる
- セルフコンパッション:「そう感じていいよ」と自分に優しい言葉をかけることで心が穏やかに
まとめ:ラベリングは感情の“交通整理”
ネガティブな思考や感情に振り回されるのではなく、「これは〇〇だ」とラベルを貼るだけで、心の整理整頓が進みます。怒りや不安は悪者ではありません。ただ、“気づいてもらいたい”だけなのです。
まずは、今日一日で感じた感情を1つ、名前をつけてみてください。それが、心の安定に近づく最初の一歩になります。
「自分の感情に名前をつけるだけ」——それだけで、あなたの心はもっと自由になれます。
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